頑張っています! 猫伝染性腹膜炎(FIP)と闘うジジ君のお話。

梅雨に入ったというのに雨も降らず、暑い日が続いていますね。

今日はそんな暑い中、治療のため頑張って来院してくれている黒猫の『ジジ君』のお話です。


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治療を終えても写真のように可愛らしく「ゴロゴロ、ベタ〜」としてくれるジジ君ですが

実は少し前までは野良猫さんで、今の飼い主さんの家に迷い込んだ所を保護された事をきっかけに当院で診させて頂いています。


初診時の症状は猫ヘルペスウイルスの影響による角結膜炎(後遺症で左右の角膜表面が少し白くにごっていました)と慢性鼻炎。

猫ヘルペスウイルスの慢性感染と診断し治療をはじめ、当初は経過も良かったのですが、治療を開始して1ヶ月程経過した時に元気食欲がなくふらついて立てないとの事で改めて診させていただきました。


その時のジジ君の症状は

起立困難、歩行障害、発熱(40℃)、眼球震盪、左前眼房蓄膿・・・。


ジジ君の診察をしながら飼い主様に状況を説明し、頭をフル回転させながら、いやな病気の名前が頭に浮かびます。


「猫伝染性腹膜炎(FIP)のドライタイプ」


病名の裏付けの為、飼い主様の了解を受け猫コロナウイルス抗体を測定すると
51200倍の結果が。

ジジ君の症状と猫コロナウイルスの抗体価の顕著な増加から、飼い主様にジジ君が

「猫伝染性腹膜炎のドライタイプ」を発症している事、
今現在根治のための治療法が確立されていない事、
致命的な疾患である事、

をお伝えしました。


そして今回のジジ君のケースの治療の選択支として僕が挙げたのが

①突然変異したウイルスが関連して起こる全身の過剰な免疫反応を抑える為の高用量ステロイド療法単独での治療。
 利点:FIPの症状を緩和出来る可能性がある。治療費用が安い。
 欠点:根本的な治療ではないので治療効果は限られる。延命効果は少ない。

②高用量ステロイド療法に加え、ネコインターフェロン-ω(インターキャット注)の隔日投与
 利点:幾つかの報告で、有意な延命効果あり。
 欠点:2日に1回、来院して注射を打つ事になるので、飼い主様の時間的経済的な負担が大きい。


これらの治療法を飼い主様と相談した結果、「せっかく縁があってウチに来たので少しでも楽にしてあげたい」との希望で②のステロイド療法とネコインターフェロン療法の併用での、本格的な治療を開始しました。


治療開始4日目には平熱に戻り、食欲も出て、正常に歩行する事も出来る様になり、体重も増え治療開始10日後の今日では迷い込んでから1番元気かもと飼い主様もおっしゃっていました。

それが今日のジジ君の写真です。


全ての猫伝染性腹膜炎の猫ちゃんが今回のジジ君の様に治療に対して良い反応を示してくれる訳では有りません。

僕の診て来た猫伝染性腹膜炎の多くの猫ちゃん達は、集中治療をしたにも関わらず闘病の結果亡くなってしまった事も事実です。

また、ジジ君の治療を始めてからまだ間もないため今後も注意をして経過を見て行かなくてはなりません。

これからも治療は続きますが、飼い主様、ジジ君、病院スタッフ、皆の願いが形となり元気で長く生きていく事を切に願います。


      東大阪市 ピース動物病院 院長  成田和博  
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by peace-vs | 2013-06-13 17:44 | 院内日誌 | Comments(2)

Commented by まこ at 2014-12-14 16:53 x
突然ですがFIPの今後の対応でどのように思われるか教えてください。
FIPのウエットタイプを発症し二ヶ月です。
腹水を少し抜いた後はステロイド剤を飲み出し一週間後の検査で腹水は吸収され、その後は溜まってません。
一週間後からインターフェロンを週1で接種し計7回です。
ステロイド剤は、2個から1/4になりました。
食欲もあり元気にしております。
先日、獣医さんに今のステロイド剤を飲み切ったら間隔を少しあけ無くす方向らしい話とインターフェロンをこのまま週1で進めるか間隔を開けていくかは飼主の選択と言われました。
安定しているというのもあり、治療費への負担を考えて下さっているのだと思います、
間隔があけば確かに負担も減りますがせっかく今の状態をキープしているのに間隔を開けたことでどうなるか心配でもあります。
完治はないが寛解と判断する手だても含めどう思われますか?
基準がわからず選択になやんでいます。

Commented by peace-vs at 2014-12-16 16:04
コメントありがとうございます。
返信が遅れてしまい申し訳有りませんでした。

先ずは猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)の根本的な治療法が無い事は上記ブログで記載した通りです。

あくまで対症療法としての猫インターフェロンやステロイドでの治療報告は何例か有りますが、猫により反応が様々で寛解状態のままどれくらいの維持できるのか?
寛解後減薬、休薬か可能か?などに関しての明確な根拠が有りません。

ですので、今回の猫ちゃんの件にしても明確な基準が無い分ホームドクターさんとの話し合いで何処までの治療を希望されるかに尽きると思います。

減薬、休薬が不安であるならばその旨をホームドクターの先生と相談していただけたら飼い主様の希望に添う治療をして頂けると思います。